うひゃ~!どうやらカンチャナブリに行かなくてすみそうな気配のヌルピョン選手です。
心の声は、
「やった!」
である。あと僕は無免許なので遠出が恐いのです。ルール無用のお国ですが、時々、日本では
「へぇ~!」
というような事がアウトだったりするのです。
例えばフォグランプを点灯して走っていたら罰金とかね。
それにメジロドーベル所有の馬運車は、いすゞのトラックなので4人乗りですが、後部座席は補助席みたいな作りなので、狭いうえシートも硬々で30分も座っているとお尻が悲鳴をあげてしまいます。しかも7人、8人で行くとなると荷台に乗らないといけません。荷台に乗って小旅行などやって見なさい。それはもう荒波の中を進むフェリーの2等寝台以下の過酷さでございます。僕も若者ぽく装っておりますが、齢四十と五でございます。カラダが砕け散ってしまうでございます。
急遽、カンチャナブリ行きが延期になったのは、祖母馬の具合が芳しくなく3時間4時間のドライブに耐えられないかもしれないと言うことで、ソンクランの間はバンコク郊外ペッカセムで足止めということになりそうです。
めでたし、めでたし。
ここだとバンコクへ小1時間の距離なので、いつでも帰れます。いつでも脱出できます。
が、食生活が難儀なので、日本の調味料を背負って陣をはっております。今や僕の大小は刀から調味料に替わりました。
まあ僕の主食は果物なので、南国生活はなんとかセーフです。この乾季の暑い時期はスイカが堪らなく甘く、ハズレがありません。スイカと言ううり坊は暑ければ暑いほど甘くなるんですねぇ~。年がら年中暑いこの国でも味にずいぶん差があります。
それからペッカセムでの生活は夕方になると市場に出掛けるのですが、これが世に言う市場なのでございます。日本で言うところの青空市場です。朝市ですねぇ~。バンコクの中心街には存在しにくいもので、郊外に行くと、この手の市場が主流で、いたる所にあるのである。そして惣菜屋が生鮮食品屋を抑えて多いので、市場内の匂いは臭いになり、えげつなく臭い。
臭いし、なんの味かわからない、見た目もおいしそうに見えない物を買い物するんですよ。同じ人間が。
そんな光景を僕は、もう飽きるほど見てきて思ったことは、人の舌なんて信じられるものじゃないなぁ~と。
タイ人も同じように、この時期のスイカが1番おいしいって言うところは共通しているのである。
しかし、人が味付けするものになると、こうも違って、こうも味覚センスが変わるかと。
そして、市場に行ったら行ったで、ダートもターフもお構いなしに無頼の強さを誇るメジロドーベル(ただし、あまり長い距離は得意じゃない。まだまだ、かかり癖は解消されていないから)から、今日は何が食べたいと質問されても、僕は果物以外は率先して食べたくないから、タイ語が分からないフリをするが、そんな3文芝居すぐに見破られてしまい、市場内を耳を引っ張られ市中引き回しの刑に、挙句の果てに食べたくもないが、これだったら大丈夫かなぁ~と思われるオカズを買い(10中8,9いや10中10口に合わない)、家に帰って常に5,6人の多いときは10人ぐらいで食卓を囲むのである。もちろん日本人は僕1人である。じゃまくさいからタイ語、全然わかりませ~んという顔をして、ごはんも食べてるフリをして、そそくさと、その輪から離れていくのでありますが、全部ばれています。
ナニ人でも、すぐに見破られてしまう脇の甘さを持ったヌルピョン選手。ここの家族からも一応、嫌われてはおりません。今のところ。
そうそう、この間、仲良しがバンコクに来ていて、仲良しが僕に、こう言ったのです。
「なんか旨いもんあんの、この国?」
って、僕は開口1番
「こんな暑い暑い国に、旨いもんなんかあるはずないでしょ~!」
と。
ヤワラ~という中華街がバンコクにはあるのですが、その1角に炭火で焼いたトースト屋が繁盛してるもんだから覗いて見て、絵づらが面白そうだから1つ買ってみたくなり注文して、調理を見たとたん、おそらくこれはダメだと思った。まず焼き上がったトーストにバター塗ってますよ~と、トゥーマッチの勢い。僕はミルクを頼んでいたので練乳をゴボっと。それをざらばん紙の上に乗せて
「食え~!」
という印象で渡される。
で、想像を超える味など期待できるはずもなく大味で、
「これ、1口かじったらパンのお尻からバター、ミルクがムニャーと出てくるやつやん!」
「2口目には、手もパンも、もうグチャグチャになってしまう。子供の粘土細工まる出しのやつやん!」
案の定、手を洗うためだけにコンビニに入って、ペットボトルの水を買うはめに。
一事が万事、この調子なのであります。ゆえに旨いもんなんか、ありませんという答えになってしまうのです。
そして、仲良しが入れ替わりでバンコクに来て、第2弾の仲良しが空港のラウンジで食べ損ねた日本産のおにぎりを僕は、はしこい目で見つけ。
「お兄さん、こんなところに日本のおにぎりがあるやん。」
と大きい大きい声でアピールして、それを受けた仲良し兄さん(お兄さんと呼んでいるが、年下である。理由は、ここの兄弟と付き合いがあるので、兄貴の方をお兄さん、弟の方を弟君と呼んでいるゆえに)は、
「このオッサン、ほかすつもりのおにぎり2つに、どんな執着沸かしとおるねん。」
と、戸惑い気味。
僕は食べたい一心で、さらに懇願。
「お兄さん、これ食べるの?今から?」
と、おそらく、もう目の色変わっていたと思われます。
ゴメンね、お兄さん。ハイエナのような余裕のない目を見せびらかせて。
でもね、日本の空気に触れて来ているおにぎりだったので、この9ヶ月間で1番おいしい食べ物でしたね。
日本の食べ物って、あんなにおいしいんですね。日本人にとっては。
おにぎり2つ「ごちそうさま。」
それから愛読書「歴史通」、大事に大事にゆっくりゆっくり読み進んでいます。
最後に無免許運転中なので、なんとかならないかなぁ~と思っていたら、バンコク在住の友達が、
「藤原さん、学生ビザ持ってるんでしたら運転免許とれますよ~。」
と、言って来てくれた。
「バイクだと1日で取れて、費用は100バーツ。車だと2日かかりますが、費用は200バーツ。」
「で、これ帰国したら日本の運転免許書に代えてくれますよ~。」
とのこと。
イヤ~、おんぼろ厩舎を営む程度の調教師でも賄える額で免許が取れるなら、さっさと取りに行ってこよう。
ペッカセムファームです。バナナの木があるようなところで、メジロドーベルを放牧させています。生まれ育った場所なので、大変落ち着くらしいです。調教師の僕は、なかなか慣れれません。